ドンキホーテを創始した大原孝治氏

訪日外国人が急増するなか、インバウンド需要の恩恵を受けた小売業の店舗は多いのは確かです。

しかし2016年に中国での関税の取扱が変わったのを潮目に、爆買い需要が沈静化しておかげで、インバウンド需要にも限りがみえ、ひと時に比べると落ち着きを見せています。特に爆買い需要に焦点を当てていた店舗では影響が大きく、店舗の整理縮小を余儀なくされる事態が続出しているのです。訪日外国人の一人当たりの買物額が縮小を見せる影響を被り、経営危機に陥った小売業は少なくありません。このような厳しい状況に立たされている小売業界にあって、好調な営業収益をあげているのが、大原孝治氏のドンキホーテです。インバウンド需要が落ち着きを見せる中、既存店の売上高が前年を上回るほどの好調を今もなおキープしています。その理由について、大原孝治社長は、「すぐにマーチャンダイジング(MD)を変更することで対応できた」と語っているのです。つまり臨機応変に商品構成を現場の責任者に委譲しているわけですが、実際に大型チェーン店舗で実践するのは難しいと言えます。その難しさは多くの総合スーパーが苦境に立たされている事実に徴すれば明らかです。
このような個々の店舗に大きな裁量を認めているのは、大原孝治社長が小売店舗の積み重ねがチェーン全体の売上の基礎を構成しているとの経営哲学を有しているからです。チェーン全体から小売のありようを捉えるのではなく、あくまで現場の声を重視することこそが、現在のドンキホーテの好調ぶりを支えています。

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